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通勤中に交通事故に遭ったときの対応【弁護士が解説】
下川絵美
下川法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。 当事務所は、広島に地域密着で、個人法務(離婚・相続・交通事故・労働災害・借金問題等)から、企業法務(予防法務・企業内トラブル・企業間トラブル等)まで、幅広い分野の案件を取り扱っております。 様々な法的分野のお悩みを抱えている方のお力になれるよう,所員一同,全力でサポートいたします。 広島で,法律トラブルを抱えておられる方は,お一人で悩まず,お気軽にご相談いただければと思います。

交通事故に遭った場合、通常は加害者の自賠責保険や任意保険から保険金等の支払いを受けることができます。もっとも、通勤中に交通事故に遭ったときには、労災保険の対象にもなります。本記事では、通勤中の交通事故において労災保険を使用するメリットについて解説します。

労災保険の内容

業務上の事故によって負傷した場合には、労災保険の対象となり、労災保険給付を受けることができます。また、労災保険は業務災害だけではなく、通勤によって労働者が負傷した場合にも使用することができます。もっとも、移動の経路を逸脱し、または中断した場合には、逸脱又は中断の間およびその後の移動は原則として「通勤」には該当しないとされているので、注意が必要です。主な労災保険給付の内容は次のとおりです。

療養(補償)給付

労災事故によって負傷した場合、治療費・治療関係費が療養(補償)給付として支給されます。労災を使わない場合、通常、加害者が加入している任意保険から治療費が支払われることになり、加害者が任意保険に加入していない場合は自賠責保険に治療費を請求することになります。

休業(補償)給付、休業特別支給金

労災事故で負傷し、これによって働けなくなった場合、休業を開始した4日目から、休業休業(補償)給付と休業特別支給金が支給されます。

障害(補償)給付、障害特別支給金

労災事故による怪我が治ったときに、一定以上の障害が残った場合、障害(補償)給付と障害特別給付金が支給されます。

遺族(補償)等給付

労災事故によって労働者がお亡くなりになった場合、その遺族に遺族(補償)等給付が支給されます。

葬祭料(葬祭給付)

労災事故によってお亡くなりになった労働者の葬儀を行う遺族に対し、葬祭料(葬祭給付)が支給されます。もっとも、葬儀を行う遺族がおらず、会社が葬儀を行った場合は、その会社に対して支給されます。

交通事故で労災保険を使用するメリット

過失相殺をされない

交通事故に遭った場合、治療費等の損害賠償金は加害者に対して請求することができますが、被害者にも過失があった場合、被害者も過失割合に応じた負担をしなければなりません。

例えば、治療費が100万円で、過失割合が、加害者:被害者=90:10の場合、加害者に対して請求することができる治療費は90万円となります。仮に、加害者の任意保険会社が治療費の支払いを一括対応して医療機関に100万円全額支払っていたとしても、加害者側が負担する90万円との差額10万円は、最終的な賠償金額から控除されることになります。これに対し、労災保険であれば、被害者側に過失があったとしても、療養(補償)給付として治療費100万円が全額支払われ、差額の10万円を最終的な賠償金額から控除する必要はありません。

保険金額に上限がない

加害者が任意保険に加入していなかった場合、加害者が加入している自賠責保険から治療費等の支払いを受けることになります。

自賠責保険には限度額があり、傷害部分であれば、120万円が限度額となっています。そのため、治療費が120万円を超えると、超えた分の治療費は、被害者が自己負担しなければなりません。

もちろん、自賠責保険の枠を超える損害について、加害者自身に請求することもできますが、加害に資力がなかったりするなど、実際に支払ってもらうことが困難なことも多いです。

これに対し、労災保険は限度額がないため、治療費が120万円を超えても、療養(補償)給付を受給することができます。

特別支給金を受給することができる

労働災害によって負傷又は疾病にり患し、そのために仕事をすることができず、給与が支払われない場合、休業4日目から、休業(補償)給付と休業特別支給金を受給することができます。休業(補償)給付の支給額は、給付基礎日額×60%、休業特別支給金は給付基礎日額×20%となっています。

労災保険から補填されない休業損害は加害者に対して請求することになり、休業(補償)給付は、加害者から支払われる休業損害から控除されます。これに対し、休業特別支給金は、労働福祉事業の一環として、被災労働者の療養生活の援護等によりその福祉の増進を図るために行われるものであって、被災労働者の損害を填補する性質を有するものではないため、加害者から支払われる休業損害から控除されません。

なお、労災を使用しない場合に、加害者側に対して休業特別支給金相当額を上乗せして請求することはできません

また、怪我が治ったときに一定以上の後遺症が残った場合、障害(補償)給付と障害特別支給金が支給されます。障害(補償)給付も、加害者に請求する逸失利益から控除されますが、障害特別支給金は、休業特別支給金と同様に控除されません。

このように、労災を使用すると、結果的に特別支給金の分だけ多くの金額を受け取ることができます。

加害者に対する損害賠償請求

労災を使用すると、療養(補償)給付等が支給され、治療費や治療関係費については、基本的には労災保険から支払われます。

しかし、労災保険からは、交通事故によって発生した損害の全てが補填されるわけではありません。

例えば、休業(補償)給付は給付基礎日額×60%しか支払われないため、休業損害との差額は加害者に対して請求することになりますし、後遺障害が残ったときの逸失利益も労災保険からは障害(補償)給付としてその一部が支払われるだけです。

また、慰謝料は労災保険から支払われないため、加害者に対して全額請求することになります。

労災保険では補填されないこれらの損害は加害者に対して請求することになりますが、加害者が任意保険に加入している場合は、加害者が加入している任意保険会社と示談交渉をすることになります。

任意保険会社との示談交渉において主要な争点になりやすいのは慰謝料です。

慰謝料には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準と呼ばれるものがあります。

通常は、自賠責保険基準がもっとも低額となり、弁護士基準が最も高額となります。しかし、任意保険会社は、弁護士が交渉をした場合でなければ、弁護士基準をベースとした慰謝料を支払ってくれることはまずありません。そのため、任意保険会社との示談交渉では、弁護士に依頼した方が、一般的には慰謝料が高額になります。

   

任意保険会社との示談交渉がまとまらなければ、裁判所に訴訟を提起して加害者に対して損害賠償を請求します。

交通事故に遭われたときは、一度ご相談ください

通勤中に交通事故に遭ったときは労災保険を使用することもでき、労災保険を使用した方がメリットも多くあります。

もっとも、労災保険は日常的に使うものでもなく、手続きを進めるのに不安を抱く方も多いと思います。

また、加害者が加入する任意保険会社との交渉も専門的な知識が必要となり、特に労災保険を使った場合の損害額の計算は複雑になります。

弁護士にご相談いただくことで、労災手続きの具体的なアドバイスを受けることができます。

また、弁護士にご依頼いただくと、任意保険会社から弁護士基準ベースでの慰謝料の交渉に応じてもらえることがほとんどで、慰謝料が高額になる傾向にあります。

通勤中に交通事故に遭われてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。