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労災事故~機械等による挟まれ・巻き込まれ事故への対応【弁護士が解説】
下川絵美
弁護士法人晴星法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。当事務所は、広島に地域密着で、個人法務(離婚・相続・交通事故・労働災害・借金問題等)から、企業法務(予防法務・企業内トラブル・企業間トラブル等)まで、幅広い分野の案件を取り扱っております。 様々な法的分野のお悩みを抱えている方のお力になれるよう,所員一同,全力でサポートいたします。 広島で,法律トラブルを抱えておられる方は,お一人で悩まず,お気軽にご相談いただければと思います。

業務中に、機械や器具に挟まれたり、巻き込まれたりする事故は非常に多く発生しています。

その原因としては、機械自体に故障などの瑕疵がある、被災労働者の操作ミス、使用者が労働者に対する十分な指導を怠っていたこと等が考えられます。

機械等による挟まれ・巻き込まれ事故は、怪我をする部位や程度も様々であり、場合によっては手足の切断を余儀なくされたり、お亡くなりになったりすることもあります。

このような事故はおこらないに越したことはありませんが、どんなに注意をしていてもなかなかゼロにすることはできません。そこで、業務中に機械等による挟まれ・巻き込まれ事故が発生した場合の対応について解説します。

まずは労災申請が重要

業務中に、機械等による挟まれ・巻き込まれ事故が発生して負傷してしまった場合、治療費が必要となります。また、怪我のために一定期間働くことができないこともあります。

労災が認定されると、療養補償給付等の労災保険給付を受給することができるので、業務中の事故で怪我をしたときは、労災申請をすることが重要です。

労災事故が発生したときには会社が労災申請の手続きに協力してくれることがほとんどですが、会社が協力してくれない場合には、会社の協力がなくても被災労働者自身が労災申請をすることができます。労災の申請書には事業主である会社の証明を記入する欄があり、事業主の証明がないまま労災申請をしようとすると、労働基準監督署から事業主の証明を求められることもあります。しかし、法律上、労災申請に事業主の証明が必須とはされていません。このような場合でも、弁護士が代理して労災申請をすると、事業主の証明がないまま進められることがほとんどです。

また、機械等による挟まれ・巻き込まれ事故による怪我は、完治することなく後遺障害が残ってしまうことも多くあります。後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害等級認定の申請をすることができます。後遺障害等級は後遺障害の程度に応じて1級~14級までの等級があり、等級によって支給される障害補償給付の金額も異なります。

会社、元請に対する損害賠償が可能なケースも

使用者である会社には、労働者がその生命、身体の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務(安全配慮義務)が定められています(労働契約法第5条)。

そして、同義務に違反して労災事故が発生し、労働者が負傷してしまったときには、使用者である会社は、労働者が被った損害を賠償する義務があります(民法415条)。そして、会社に安全配慮義務違反が認められる場合は、通常、不法行為責任(民法709条)にも該当します。

従業員からその事業の執行について損害を加えられたときは、加害者である従業員に対してのみならず、会社に対しても損害賠償を請求することができます(使用者責任・民法715条)。使用者責任において、会社が必要な注意を怠らなかった場合には、会社は損害賠償責任を負いませんが、必要な注意を怠らなかったことは、会社が立証しなければなりません。

会社が占有している土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があったことによって他人に損害を生じたときも、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います(土地工作物責任・民法717条)。土地工作物においては、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないとされています。

機械等による挟まれ・巻き込まれ事故の場合、法令上必要とされている機械の点検を怠っていた等、会社に安全配慮義務違反が認められることも多く、このような場合は、会社に対して損害賠償を請求することも可能です。

なお、被災労働者とは労働契約関係にない元請や派遣先の会社に対して、損害賠償請求ができることもあります。

労災が認定されると、労災保険給付を受給することができますが、慰謝料など、労災保険給付からは受給できないものもあります。業務中に負傷した場合には、労災保険給付を受給して終わりとするのではなく、会社に対する損害賠償請求も検討しましょう。

会社や元請に対して損害賠償請求をするためには

機械等による挟まれ・巻き込まれ事故による怪我は重篤化することも多く、慰謝料などの損害額が高額になることもあります。

しかし、労働災害に遭われた被災労働者が会社等の責任の有無を検証し、損害額を計算することは容易ではありませんし、資料の収集もしなければなりません。

また、会社側からも、事故の原因は労働者の不注意であり、会社としてするべきことは行っていたため会社に責任はないといった主張をされることも多くあります。

ほとんどの方が労災事故に遭って怪我をすることが初めての経験ですので、分からないことも多く、会社との交渉も一筋縄ではいかないことが多いです。

このように、被災労働者自身が会社に対して損害賠償を請求することは一般的に大きな負担がかかります。

そのようなときでも、弁護士に任せれば、弁護士が会社に対して交渉を行いますので、ご自身の負担は軽減され、治療やリハビリに専念することができます。

まずは一度ご相談ください

労災申請や会社等に対する交渉は専門的な知識を必要とすることもあり、難しいと感じられる方も少なくありません。

また、ご自身で手続きを行うことは大きなストレスになることも多く、途中で諦めてしまう方もいます。

弁護士にご相談いただくことで、手続きの流れについて説明を受けることができます。また、弁護士にご依頼いただくことで、会社との交渉を任せることも可能です。

弁護士に依頼するかどうか決まっていないという方も、個別具体的な事情を踏まえたアドバイスができます。機械等による挟まれ・巻き込まれ事故をはじめ、労災事故に遭われてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。