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労災事故~爆発・火災・感電等の労災事故に遭ったときの対応【弁護士が解説】
下川絵美
下川法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。 当事務所は、広島に地域密着で、個人法務(離婚・相続・交通事故・労働災害・借金問題等)から、企業法務(予防法務・企業内トラブル・企業間トラブル等)まで、幅広い分野の案件を取り扱っております。 様々な法的分野のお悩みを抱えている方のお力になれるよう,所員一同,全力でサポートいたします。 広島で,法律トラブルを抱えておられる方は,お一人で悩まず,お気軽にご相談いただければと思います。

火災や感電、爆発といった労働災害は、発生すると大規模な事故になりやすい類型の災害です。このような類型の労働災害は、例えば、次のような状況下で発生します。

  • 建設中の船舶で、酸素濃度が高くなり、火気の使用により火災が発生しやすい状況下で溶接を実施しようとしたところ、電気溶接の火花が酸素濃度の高くなった倉庫内に飛散し、着衣に引火した。
  • 製造中の船舶内で防爆灯を使用し、作業を行っていたところ、防爆灯のコードの付け根辺りから火が噴出して爆発が発生した。
  • 電気器具を片付ける際、コードの絶縁不良部分に触れて感電した。
  • 配電盤のスイッチを切らずに巻き取ろうとしたところ、コードの損傷部分から露出していた芯線に接触し、感電した。

など

これらの事故に巻き込まれると、重篤な怪我を負ったり、お亡くなりになってしまうことも少なくありません。
そこで、万が一、このような爆発・火災・感電等の労災事故に遭ってしまった場合にどのように対応すればよいのかについて解説します。

労災申請から始める

火災・感電・爆発等の労災事故に遭ったときには、前述したように、特に重傷を負ってしまうことやお亡くなりになってしまうことも珍しくなく、今後の治療費や生活費等に対する不安も大きいと思います。

業務上の事故が原因で負傷したときには、労災申請をすることで、労災保険給付を受けることができます。主な労災保険給付の内容は次のとおりです。

療養(補償)等給付

労災病院など指定医療機関等で、無料で治療や薬剤の給付を受けることができます。指定医療機関等以外で治療等を受けた時には、一旦立て替えた治療費等の費用の給付を受けることもできます。

怪我の治療費は基本的には療養(補償)等給付によって支払われることになります。

休業(補償)等給付

労働災害によって負傷し、その療養が原因で働くことができず、そのために賃金が支払われていないときには、休業の第4日目から休業(補償)等給付を受けることができます。

支給額は、休業(補償)等給付として給付基礎日額×60%及び休業特別支給金として給付基礎日額×20%です。

これにより、収入面での負担も緩和されるでしょう。

障害(補償)等給付

労働災害による負傷が治ったときに、一定の障害が残存した場合に支給されます。

障害(補償)等給付は、医師が作成した後遺障害診断書等も提出して申請します。

後遺障害が認定されると、認定された後遺障害等級(第1級~第14級)に応じて障害(補償)等給付が支給されます。

遺族(補償)等給付

労働災害が原因で被災労働者がお亡くなりになった場合、その遺族に対して遺族(補償)等給付が支給されます。

遺族(補償)等給付には、遺族(補償)等年金と遺族(補償)等一時金があり、遺族(補償)等年金の受給資格者たる遺族がいる場合には、当該遺族に遺族(補償)等年金が支給され、被災労働者の死亡当時、遺族(補償)等年金を受ける遺族がいない場合等には遺族(補償)等一時金が遺族(補償)等一時金の受給権者たる遺族に支給されます。

勤務先の会社等に対する損害賠償請求を検討する

火災・感電・爆発等の労災事故の発生には、勤務先の会社等に落ち度があることも少なくありません。

なかでも、労働安全衛生法に違反しているような場合は、勤務先の会社等の落ち度が認められる可能性が高いと言えます。

そして、労災事故の発生について勤務先の会社等に落ち度がある場合は、安全配慮義務違反(民法415条)や不法行為責任(民法709条)を根拠に会社に対して損害賠償請求をすることができる可能性があります。

また、使用者である会社等は、被用者である従業員がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任があります(使用者責任・民法715条)。そのため、労働災害が他の従業員のミスによって発生した場合は、使用者責任を根拠として使用者である会社等に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

労災から療養(補償)等給付をはじめとする労災保険給付を受給したとしても、労災からは慰謝料は支給されません。また、休業(補償)等給付も労災事故以前に毎月支給されてきた給与全額相当の金額が支給されるわけではありません。これらの慰謝料等については、勤務先の会社等に対し、損害賠償として請求することになります。

火災・感電・爆発等の労災事故事案において認められる勤務先会社等の責任の一例を挙げると、次のとおりです。

  • 絶縁不良状態にあった電気機器のコードの接続部分の点検を一度も行わなかった等、電気機器の管理体制に不備があった。
  • 被災労働者に対する安全教育を徹底していなかった。
  • 現場を巡回した際、被災労働者が指示に反する作業方法をとっていたことを知りながら、改めさせたり、作業を一旦中止させて安全を図る等の措置を講じなかった。

など

手続きの流れ

労災事故に遭って負傷してしまったときには、所定の労災保険給付関係請求書等を所轄の労働基準監督署に提出する方法により、労災申請をします。

労災申請は、勤務先の会社等が被災労働者に代わって必要書類の提出等をしてくれることも多いですが、勤務先の会社が協力してくれない場合は、被災労働者自身で行うこともできます。

所定の労災保険給付関係請求書等は厚生労働省のホームページからダウンロードすることもできますし、最寄りの労働局や労働基準監督署から直接もらうこともできます。

なお、労災が認定されなかった場合は、不服を申し立てることも可能です。

労災事故による怪我を治療しても後遺障害が残ってしまった場合は、障害(補償)給付の申請をします。一定の後遺障害が残っていることが認定されると、後遺障害等級に応じた障害(補償)給付を受けることができます。

怪我が治ったり、後遺障害の認定がされると、勤務先等の会社に対する損害賠償請求を検討します。労働局から資料を収集する等して、勤務先の会社等に対する損害賠償請求可否の検討や損害賠償請求の準備をします。

勤務先の会社等に対する損害賠償請求は、損害額を明示して書面等で行うことが多く、損害額は法的根拠に基づいて計算しておくことが重要です。

勤務先の会社等との間で示談をすることができず交渉で解決しなかった場合は、労働審判や訴訟等により損害賠償を請求することになります。

ぜひ一度ご相談ください

火災・感電・爆発等の労災事故に遭って負傷した場合、重傷を負うことも多く、しっかりと治療をすることが重要です。そのためにも、労災申請をし、労災保険給付を受けるのが一番です。

また、怪我によって被った損害を可能な限り回復するためには勤務先の会社等に対する損害賠償請求も検討しましょう。労災事故の発生について会社に責任があるケースでは、労災保険給付で補填されない損害は勤務先の会社等から支払われるべきです。

お世話になった会社だからという理由で勤務先の会社への請求をためらわれる方もおられます。しかし、会社は労働者の生命、身体等の安全を確保しながら労働することができるように配慮する義務があります。この義務に違反して労働災害が発生し、労働者が負傷をした場合には、会社が責任をもってその被害を回復することは当然のことです。被災労働者側が気後れをして損害賠償請求をためらう必要はありません。

もっとも、労働災害に遭うこと自体が初めてという方も多く、具体的にどのように手続きを進めていけばよいのか分からないという方も多くおられます。

労災問題に精通している弁護士にご相談いただければ、個別の事案に即した具体的なアドバイスをしてもらうことができます。

また、一個人ではなかなか難しい勤務先の会社等に対する損害賠償請求も、弁護士に依頼をすれば代わりに行ってもらうことができます。

火災・感電・爆発等の労災事故に遭ってお困りの方は、ぜひ一度ご相談下さい。