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労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。
その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
また、労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。なお、労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、 労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。
労災保険で受けることができる主な給付の種類
1 休業(補償)等給付
(1) 概要
労働者が、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき 、その第4日目から支給されます。
(2) 要件
以下の3要件を満たす場合には、その療養のための休業の第4日目から、休業(補償)等給付(給付基礎日額の60%)と休業特別支給金(給付基礎日額の20%)が支給されます(労災保険法14条1項、労働者災害補償保険特別支給金支給規則3条)。
なお、休業の初日から第3日目までは待期期間といい、この期間中については、労働基準法の規定に基づく事業主からの休業補償(1日につき平均賃金の60%)によるほかありません(労働基本法76条1項)。
また、複数業務要因災害・通勤災害の場合には、待機期間中の事業主の補償責任についての法令上の規定はありません。
さらに、労働者が所定労働時間のうち一部を休業したという場合は、給付基礎日額から実際に労働した部分に対して支払われる賃金額を控除した額の60%に当たる額が支給されることとなりますので注意しましょう。
ア 業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため
イ 労働することができないために
ウ 賃金を受けていないという
(3) 支給内容
支給額は以下の計算式により算出されます。
・単一事業労働者(一の事業場のみに使用されている労働者)の場合
休業補償給付、休業給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数
休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)× 休業日数
・複数事業労働者(事業主が同一でない複数の事業場に同時に使用されている労働者)の場合
休業(補償)等給付=(複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額の60%)×休業日数
休業特別支給金=(複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額の20%)×休業日数
(4) 給付基礎日額
原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。
また、平均賃金とは、算定事由発生日(賃金締結日がある場合は直前の賃金締結日以前の3ヶ月間における賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です(労基法12条)。
算定事由発生日の例としては、業務上または通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日や医師の診断によって疾病の発生が確定した日などがあります。
なお、複数事業労働者の給付基礎日額については、原則、複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。
また、休業(補償)等給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、厚生労働省が作成している「毎月勤労統計」における平均給与額の上昇または低下に応じて改訂が行われます(労災保険法8条の2第1項)。
さらに、療養開始後1年6か月を経過した場合は、年齢階層別の最低・最高限度額が適 用されます(労災保険法8条の2第2項から4項)。
(5) 時効
休業(補償)等給付は、療養のため、労働できずないことにより賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年を経過すると消滅時効にかかりますのでご注意ください。
2 療養(補償)等給付
(1) 概要
労働者が、業務または通勤が原因で負傷したり、病気にかかって療養を必要とするときに支給されます。
その内容としては、「療養の給付」と「療養のための費用の支給」の二つがあります。
(2) 療養の給付
療養の給付の範囲は、①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、⑥移送とされます(労災保険法13条1項各号)。
実際には、労災病院や労災保険指定医療機関・薬局等で、無料で治療や薬剤の支給などを受けられます。
(3) 療養の費用のための支給
近くに指定医療機関等がないなどの理由で、指定医療機関等以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合に、その療養にかかった費用を支給する現金給付です(労災保険法12条3項)。
(4) 支給期間
傷病が治癒(症状固定)するまで支給されます。
ただし、ここでいう治癒とは、傷病が完全に回復した状態でなくとも、身体の傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定といいます。)も含まれます。
(5) 通院費について
被災労働者の居住地または勤務先から、原則、片道2km以上の通院であって、以下のいずれかに該当する場合に支給対象となります。
・同一市町村内の適切な医療機関へ通院したとき。
・同一市町村内に適切な医療機関がないため、隣接する市町村内の医療機関へ通院したとき
(同一市町村内に適切な医療機関があっても、隣接する市町村内の医療機関の方が通院しやすいとき等も含む)。
・同一市町村内にも隣接する市町村内にも適切な医療機関がないため、それらの市町村を超えた最寄りの医療機関へ通院したとき。
村を超えた最寄りの医療機関へ通院したとき。
(6) 一部負担金
通勤災害による療養給付を受ける場合は、200円を超えない範囲で、労働者に一部 負担金があります(労災保険法31条2項)。
なお、この一部負担金は、初回の休業給付から減額される形で徴収されます。
(7) 時効
「療養の給付」は現物給付ですので時効が問題となることはありません。
「療養の費用のための支給」は、費用の支出が確定した日の翌日から2年を経過する と、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。
3 障害(補償)等給付
(1) 概要
業務または通勤が原因となった負傷や疾病の治癒された時に、身体に一定の障害が残った場合に支給されます(労基法77条)。
ア 障害等級1級から7級までの場合
労災保険法別表第1の定めに従い、それぞれ給付基礎日額の313日分から131日分の年金(これを障害(補償)年金といいます。)として支給されます(労災保険法15条、別表第1)。
年金の支払月は、支給要件に該当することとなった月の翌月分から支給され、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月に、2か月分が支払われます(労災保険法9条3項)。
なお、障害等級については、労基則別表第2に定められています。
また、障害補償年金は、障害補償年金を受ける権利を有する者の請求により、障害等級に応じて、給付基礎日額の1340日分ないし560日分の額の限度内で一括前払いをすることが出来ます(労災保険法59条)。
ただし、この請求権は権利行使が可能となった日から2年を経過した際には時効消滅するのでご注意ください(労災保険法59条4項)。
さらに、障害補償年金の受給権者が早期に死亡し、それまでの年金の支給総額が前払一時金の限度額に達しない場合、その差額が一時金として遺族に支給されます(労災保険法58条)。
イ 障害等級8級以下の場合
給付基礎日額の503日分から56日分にわたる一時金(これを障害(補償)一時金といいます。)が支給されます(労災保険法15条、別表第2)。
ウ 障害特別支給金
アまたはイの給付に加えて、社会復帰等促進事業として、障害等級に応じた障害特別支給金が支給されます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則4条、別表第1)。
エ 障害特別年金・障害特別一時金
障害(補償)年金や障害(補償)一時金の計算時における給付基礎日額には、賞与などの3ヶ月を超える期間の賃金(これを特別給与といいます。)が算入されません。
そこで、これらを上積みする趣旨から障害等級に応じた一定日数分の障害特別年金(障害等級1級から7級の場合)または障害特別一時金(障害等級8級以下の場合)が支給されます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則7条、8条、同則別表第2、第3)。
給付額は、算定基礎日額の313日分から131日分の年金(障害特別年金)ないし、算定基礎日額の503日分から56日分にわたる一時金(障害特別一時金)となります。
(2) 給付基礎日額
労働基準法の平均賃金に相当する額です。
また、平均賃金とは、算定事由発生日(賃金締結日がある場合は直前の賃金締結日)以前の3ヶ月間における賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です(労基法12条)。
複数事業労働者の給付基礎日額については、原則、複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。
また、年金としての保険給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、厚生労働省が作成している「毎月勤労統計」の変動率に応じて増額または減額されます(労災保険法8条の3第1項2号)。
さらに、年齢階層別の最低・最高限度額も適用されます(労災保険法8条の3第2項)。
(3) 算定基礎日額
負傷又は発病の日以前一年間(雇入後一年に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与の総額(算定基礎年額(労働者災害補償保険特別支給金支給規則6条1項))を365で割った額です(同則6条6項)。
なお、特別給与の総額が給付基礎年額(給付基礎日額の365倍に相当する額)の20%に相当する額を上回る場合には、給付基礎年額の20%に相当する額が算定基礎年額となります(同則6条3項)。
また、上記の方法による計算の結果、算定基礎年額が150万円を超える場合は、150万円が算定基礎年額となります(同則6条5項)。
(4) 時効
傷病が治った日の翌日から5年経過により時効消滅しますのでご注意ください。
4 遺族(補償)等給付
(1) 概要
業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対し、支給されます。
その内容としては、遺族(補償)等年金、遺族(補償)等一時金の2種類があります。
(2) 遺族(補償)等年金
ア 受給権者
労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していた配偶者、子(死亡当時胎児であった場合を含む)、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹です。
ただし、妻以外の遺族については、一定の要件があります(以上労災保険法16条の2)。
なお、ここでいう「生計を維持していた」には、被災労働者の収入によって生計の一部を維持していた、いわゆる「共稼ぎ」の場合も含まれます。
また、上記の一定の要件における「一定の障害」とは、障害等級第5級以上の身体障害をいいます。
イ 受給順位
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順です(労災保険法16条の2第3項)。
ウ 給付内容
受給権者およびその者と生計を同じくしている受給権者となりうる者の人数に応じて、遺族(補償)等年金、遺族特別支給金及び遺族特別年金が支給されます。
なお、受給権者が2人以上あるときは、その額を等分した額がそれぞれの受給権者が受ける額となります。
① 遺族(補償)等年金については労災保険法別表第1に従い計算されます(労災保険法16の3第1項)。
② 遺族特別支給金は、一律300万円です(労働者災害補償保険特別支給金支給規則5条)。
③ 遺族特別年金については、労働者災害補償保険特別支給金支給規則別表第2に従い計算されます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則9条)
エ 時効
被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効により請求権が消滅します。
オ 給付基礎日額
労働基準法の平均賃金に相当する額です。
また、平均賃金とは、算定事由発生日(賃金締結日がある場合は直前の賃金締結日)以前の3ヶ月間における賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です(労基法12条)。
複数事業労働者の給付基礎日額については、原則、複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。
また、年金としての保険給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、厚生労働省が作成している「毎月勤労統計」の変動率に応じて増額または減額されます(労災保険法8条の3第1項2号)。
さらに、年齢階層別の最低・最高限度額も適用されます(労災保険法8条の3第2項)。
カ 算定基礎日額
負傷又は発病の日以前一年間(雇入後一年に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与の総額(算定基礎年額(労働者災害補償保険特別支給金支給規則6条1項))を365で割った額です(同則6条6項)。
なお、特別給与の総額が給付基礎年額(給付基礎日額の365倍に相当する額)の20%に相当する額を上回る場合には、給付基礎年額の20%に相当する額が算定基礎年額となります(同則6条3項)。
また、上記の方法による計算の結果、算定基礎年額が150万円を超える場合は、150万円が算定基礎年額となります(同則6条5項)。
(3) 遺族(補償)等年金前払一時金
遺族補償年金を受ける権利を有する者の請求により、給付基礎日額の1000日分までの限度で「前払一時金」が支払われます(労災保険法60条)。
(4) 遺族(補償)等一時金
ア 要件
次の①②のいずれかの場合に支給が認められます(労災保険法16条の6第1項)
① 労働者の死亡当時、遺族(補償)等年金の受給資格者が一人もいない場合
② 労働者の死亡当時には遺族補償年金の受給資格者が存在したが、年金の受給開始後死亡、婚姻、離縁などにより受給権を失い、他に受給資格者がなく、しかもそれまで支給された年金額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合
イ 受給権者
遺族(補償)等年金の受給資格のない(または受給権を失った)配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です(労災保険法16条の7第1項)。
ウ 受給順位
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順です(労災保険法16条の7第2項)。
エ 給付内容
要件①を満たす受給権者は遺族(補償)等一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金が支給されます。
遺族(補償)等一時金は、給付基礎日額の1000日分が支払われます(労災保険法16条の8)。
遺族特別支給金は一律300万円が支払われます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則5条)。
遺族特別一時金は算定基礎日額の1000日分が支払われます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則10条、同則別表第3)。
要件②を満たす受給権者は、遺族(補償)等一時金、遺族特別一時金が支給されます。
遺族(補償)等一時金は、給付基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族 (補償)等年金等の合計額を差し引いた金額が支払われます。
遺族特別一時金は、算定基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族特別年金の合計額を差し引いた金額が支払われます。
オ 時効
被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効により請求権が消滅します。
5 傷病(補償)等給付
(1) 概要
業務または通勤が原因となった負傷や疾病の療養開始後1年6か月を経過しても直っていない場合であって、1年6ヶ月を経過した日において当該負傷・疾病による障害の程度が1級から3級(全部労働不能)の程度に達している場合に、その状態が継続している間、支給されます。
なお傷病等級については、労働者災害補償保険法施行規則別表2に記載されています。
(2) 給付の内容
傷病等級に応じて、傷病(補償)等年金、傷病特別支給金および傷病特別年金が支給されます。
なお、傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は行われません(労災保険法18条2項)。
ア 傷病(補償)等年金
傷病等級1級から3級に応じて、給付基礎日額の313日分から245日分が支給されます(労災保険法18条1項、同法別表1)。
イ 傷病特別支給金
傷病等級1級から3級に応じて、114万円から100万円の一時金が支給されます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則5条の2、同則別表1の2)。
ウ 傷病特別年金
傷病等級1級から3級に応じて、算定基礎日額の313日分から245日分が支給されます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則11条、同則別表2)。
(3) 給付日
支給要件に該当することとなった月の翌月分から支給され、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月に、2か月分が支払われます。
(4) 給付基礎日額
原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。
また、平均賃金とは、算定事由発生日(賃金締結日がある場合は直前の賃金締結日)以前の3ヶ月間における賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です(労基法12条)。
複数事業労働者の給付基礎日額については、原則、複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。
また、年金の給付基礎日額は、毎年、前年度と比較した賃金水準の変動率の上昇または低下に応じた算定が行われます(労災保険法8条の3第1項)。
さらに、年齢階層別の最低・最高限度額が設定されています(労災保険法8条3第2項)。
(5) 算定基礎日額
業務上または通勤による負傷や死亡の原因である事故が発生した日または診断によって病気にかかったことが確定した日以前一年間(雇入後一年に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与の総額(算定基礎年額といいます(労働者災害補償保険特別支給金支給規則6条1項)。)を365で割った額です(同則6条6項)。
なお、特別給与の総額が給付基礎年額(給付基礎日額の365倍に相当する額)の20%に相当する額を上回る場合には、給付基礎年額の20%に相当する額が算定基礎年額となります(同則6条3項)。
また、上記の方法による計算の結果、算定基礎年額が150万円を超える場合は、150万円が算定基礎年額となります(同則6条5項)。
6 介護(補償)等給付
(1) 概要
障害(補償)等年金または傷病(補償)等年金の受給者のうち、障害等級・傷病等級 が第1級の者と、同第2級のうち「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している者が、現 に介護を受けている場合に支給されます。
(2) 支給要件(労災保険法12条の8第4項)。
ア 「障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者」であること
イ 「障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であって厚生労働省令で定め る程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあ」ること
具体的には、労災保険法施行規則別表3に規定されています(労災保険法施行規則1 8条の3の2)。
ウ 「常時又は随時介護を受けている」こと
現に介護を受けていることが必要です。
エ 障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)、またはこれに準ずる施設として厚 生労働大臣が定めるものに入所していないこと(労災保険法12条の8第4項1号、同 2号)
ここでいう障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)に準ずる施設とは、特別養護老人ホーム、原子爆弾被爆者特別養護ホーム、親族又はこれに準ずる者による介護を必要としない施設であって当該施設において提供される介護に要した費用に相当する金額を支出する必要のない施設として厚生労働大臣が定めるものを言います(労災保険法施行規則18条の3の3)
オ 「病院又は診療所に入院して」いないこと(労災保険法12条の8第4項3号)
(3) 給付内容
給付額は月を単位として支給されます(労災保険法19条の2)。
ア 常時介護の場合
その月において介護に要する費用として支出された費用の額(ただし、17万255 0円を超える場合は、17万2550円を上限とする)が支給されます。
ただし、「その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある場合で あって介護に要する費用として支出された費用の額が7万7890円に満たないと き」、又は「その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合で あって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるとき」は7万7890円 が支給されます(ただし、介護に要する費用として支出された額が7万7890円に満 たない場合には、当該介護に要する費用として支出された額になります)。
イ 随時介護の場合
介護の費用として支出した額 (ただし、8万6280円を上限とする)が支給されます。
ただし、「その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある場合であって介護に要する費用として支出された費用の額が3万8900円に満たないとき」、又は「その月において介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるとき」は3万8900円が支給されます(ただし、介護に要する費用として支出された額が3万8900円に満たない場合には、当該介護に要する費用として支出された額になります)
ウ 月の途中からの介護
介護費用を支払って介護を受けた場合は、上限額の範囲で介護費用が支払われます が、介護費用を支払わず、親族や友人・知人から介護を受けた場合は、介護開始の月に 支給はありません。
(4) 時効
介護を受けた月の翌月の1日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅します。
まとめ
以上のとおり、労災保険といっても多種多様であり、かつ要件や支給金額の計算も複雑 です。
ご自身の受傷が労災保険におけるどの給付を請求できるのか判断が難しいという方や、 請支給金額の把握をしたいという方は、お早めに、労災問題に精通した弁護士にご相談 いただければと思います。