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介護業で労災被害に遭ったら

介護業は、身体的・精神的な負担が非常に大きい職業の一つです。

特に高齢者や障害者施設では、職員が日常的に身体を酷使することも多く、また暴力や事故に巻き込まれるリスクも少なくありません。

そこで、介護業で働く労働者が労災事故に遭った場合に、どのような対応をするべきか、またどのような法的手続きが必要になるのかについて解説します。

高齢者施設における職員への暴力

高齢者施設においては、認知症や精神的な問題を抱える入居者から職員に対して暴力を振るわれることもよくあります。

殴る、蹴る、物を投げるなどの身体的な暴力行為だけでなく、罵声を浴びせられるといった言葉の暴力も少なくありません。

特に夜間のシフトや少人数での介護作業中に発生しやすく、職員が受ける負担は相当なものです。

職員が受けるこれらの暴力行為は、業務中に発生したものであり、労災として認定される可能性があります。

暴力による肉体的な怪我だけでなく、精神的な苦痛やストレスが長期にわたって続いて発症した場合も、労災の対象となることがあります。

労災が認定されることで、職員は必要な労災保険給付を受け、治療や休養に専念することができるようになります。

施設側は、職員が生命、身体の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務(安全配慮義務)があります。

そのため、入居者が暴力を振るうことを予見できる場合、適切な管理や監視、暴力を防ぐための対策を講じることが求められます。

障害者施設における職員への暴力

障害者施設においても、職員が入居者から暴力を受けるケースは多くあります。

特に精神的な障害や行動障害を持つ入居者がいる場合、予期しない攻撃や行動によって職員が怪我を負うことも珍しくありません。

これには、突然のつかみかかり、押し倒し、物を投げられるなど、介護者の安全を脅かす行為も含まれます。

こうした暴力は、物理的な怪我だけでなく、精神的なストレスを引き起こす要因にもなります。介護職員は、こうした状況でも冷静に対応しなければならないというプレッシャーの中で働いており、精神的な負担も無視できません。

これらの暴力により、心身に影響が出た場合でも、業務中に発生した事故や障害であれば労災が適用される可能性があります。

労災が適用されることで、職員は療養補償給付や休業補償給付といった労災保険給付を受けることができるため、安心して治療に専念できます。

施設側には、職員が危険な状況に直面しないようにするための教育や支援が求められます。

例えば、適切なリスク管理や職員への安全教育などを実施し、暴力行為を防止するための取り組みが必要となります。

労災適用の有無(どのような場合に労災が適用されるのか)

労災が適用されるかどうかは、その事故や怪我が「業務上」のものといえるかどうかが大きなポイントになります。

介護業務に従事している間に発生した怪我や病気は、基本的に労災として認定されることがほとんどです。

具体的には、次のようなケースで労災が適用されます。

・入居者の介助中に、転倒して骨折などの怪我を負った

・入居者から暴力を受けて怪我をした

・入居者を抱えるときに腰などを痛めた

また、介護職は長時間労働や不規則な勤務体制が一般的であり、その結果として肉体的・精神的な疲労が蓄積しやすい環境にあります。

過労やストレスが原因で病気や精神疾患を発症した場合も、労災の対象となることがあります。

労災申請は、事故や病気が発生したらできるだけ速やかに行うことが大切です。

申請が遅れると、業務と怪我の因果関係が分からなくなる可能性もあり、申請が認められないリスクが増えます。

労災の対象かどうか疑問がある場合でも、まずは労災申請をしてみることをお勧めします。

労災事故と労災隠し

介護施設において労災事故が発生したにもかかわらず、労災として申請されない、いわゆる「労災隠し」が発生するケースもあります。

労災隠しとは、使用者である会社が労災事故の事実を報告せず、事故が発生しなかったかのように振る舞う行為をいいます。

労災隠しが行われる理由としては、労災が認定されると、保険料が上がるケースがあることや、企業や施設の評判に悪影響を与えることを避けたいといったことが考えられます。

しかし、労災隠しは労働者にとって重大な権利侵害にもなりかねません。

適切な補償を受けられないだけでなく、健康を損なった状態で働き続けることを強いられるケースも少なくありません。

労災が隠蔽されると、被害者の健康や生活に深刻な影響を受ける可能性が高くなります。

労災事故に遭ったときは、速やかに労災申請をすることが重要です。

もし労災が隠蔽されていると感じた場合は、速やかに労働基準監督署に相談するようにしましょう。

会社が労災申請に協力してくれないときには、被害者自身が労働基準監督署で労災申請をするべきです。

労災が申請されると、労働基準監督署は会社に対して調査を行い、労災事故に該当するかどうか判断します。

入居者からの暴力事故と会社・法人(事業主)の責任

前述のように、介護施設においても、使用者である事業主や法人には、その職員が生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務(安全配慮義務)があります。

入居者が職員に暴力を振るうことを予見していながら、何も対策を講じなかった場合、会社が安全配慮義務を怠ったとして、会社に対して損害賠償を請求することができる可能性があります。

例えば、暴力行為の可能性が高い入居者に対して適切な監視が行われていなかった、職員が入居者からの暴力に対処するための教育やトレーニングが行われていなかったといった場合、使用者である事業主や法人に対して責任を問えることがあります。

事業主は、職員が安全に業務を遂行できるよう、環境を整えることが法的に義務付けられているのです。

介護施設においては、暴力が発生した際の対策として、監視カメラの設置や、危険を未然に防ぐための職員の教育、入居者の状態に応じたサポート体制の強化などが求められます。

介護施設における労災事故は弁護士にご相談を

労災事故に遭った場合、被害者である職員は適切な補償を受ける権利があります。

一方で、労災が隠蔽されている場合や、会社に責任があるにもかかわらず会社から損害の賠償を受けていないことも多くあります。

また、後遺障害が残った場合、十分な補償を受けるためには、適切な後遺障害等級の認定がされることも必要です。

下川法律事務所では、適切な後遺障害等級認定のためのサポートや、被害者に代わって会社に対する損害賠償の請求を行っています。

介護業で労災事故に遭われた方につきましては、是非、下川法律事務所までご相談下さい。