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アスベストQ&A
下川絵美
下川法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。 当事務所は、広島に地域密着で、個人法務(離婚・相続・交通事故・労働災害・借金問題等)から、企業法務(予防法務・企業内トラブル・企業間トラブル等)まで、幅広い分野の案件を取り扱っております。 様々な法的分野のお悩みを抱えている方のお力になれるよう,所員一同,全力でサポートいたします。 広島で,法律トラブルを抱えておられる方は,お一人で悩まず,お気軽にご相談いただければと思います。

目次

Q.アスベストとは何ですか?

A.アスベストとは、天然に産出される蛇紋石族及び角閃石族の繊維状けい酸塩鉱物の総称で、クリソタイル、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトといった種類があり、石綿とも呼ばれています。
アスベストは、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水といった疾患の原因となることが明らかとなり、現在では製造等が禁止されています。

Q.アスベスト(石綿)はどのようなものに使用されていたのですか?

A.アスベスト(石綿)は、安価で紡織性、抗張力、耐熱性等の性質があり、吹付材、内装材、外装材、断熱材等の建材やブレーキライニング、ブレーキパッド、ガスケット、耐火服、手袋、アスベストリボンなど、様々なものに使用されていました。

Q.アスベスト(石綿)による石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水といったアスベスト(石綿)関連疾患にり患した場合、どこに対してどのような請求をすることができますか?

A.労働者又は労災に特別加入していた方は労災保険の、労災保険の対象とならない方については、救済給付の対象となる可能性があります。
また、工場で働いてアスベスト(石綿)にばく露した場合には国に対する国家賠償請求の、建設現場で働いてアスベスト(石綿)にばく露した場合は建設アスベスト給付金の対象となる可能性があります。
なお、業務中にアスベスト(石綿)にばく露した場合は勤務先の会社等に対して損害賠償請求をすることができる可能性もあります。
いずれも、一定の要件が必要となります。

Q.工場労働者型のアスベスト訴訟(国家賠償請求訴訟)の要件は何ですか?

A.工場労働者型のアスベスト訴訟(国家賠償請求訴訟)は、アスベスト(石綿)工場の元労働者やそのご遺族の方々が、国に対して訴訟を提起し、一定の要件を満たすことが確認された場合には、国が和解手続きに応じ、損害賠償金が支払われます。
和解の要件は次のとおりです。
①昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと。
②その結果、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚といった石綿による一定の健康被害を被ったこと。
③提訴の時期が損害賠償請求権の期限内であること。

また、和解により国から支払われる金額は次のとおりです。
①じん肺管理区分の管理2で合併症がない場合・・・550万円
②管理2で合併症がある場合・・・700万円
③管理3で合併症がない場合・・・800万円
④管理3で合併症がある場合・・・950万円
⑤管理4,肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の場合・・・1150万円
⑥石綿肺(管理2・3で合併症なし)による死亡の場合・・・1200万円
⑦石綿肺(管理2・3で合併症あり又は管理4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚による死亡の場合・・・1300万円
これに加えて、遅延損害金と弁護士費用が別途支払われます。

Q.建設アスベスト給付金の要件は何ですか?

A. 建設業務に従事していた元労働者等とそのご遺族の方が、国に対し、国家賠償法に基づく損害賠償を請求した訴訟について、令和2年12月14日以降、国の責任を一部認めた高裁判決が確定するとともに、令和3年5月17日の最高裁判決において、国敗訴の判決が言い渡されました。この判決等を踏まえて、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律が成立しました。同法律に基づく給付金制度は、建設アスベスト給付金とも呼ばれています。
建設アスベスト給付金の要件は次のとおりです。
①昭和50年10月1日から昭和16年9月30日まで(石綿の吹付け作業に係る建設業務の場合は、昭和47年10月1日から昭和50年9月30日まで)の間に、一定の屋内作業で行われた作業に係る建設業務に従事していた労働者、一人親方、中小事業主(家族従事者等を含む)であること。
②①の建設作業に従事することにより、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水といった石綿関連疾患にり患したこと。
③石綿関連疾患にかかった旨の医師の診断日又は石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日(石綿関連疾患により死亡したときは、死亡日)から20年以内に請求すること。

また、給付金等の主な内容は次のとおりです。
①石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がない場合・・・550万円
②石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がある場合・・・700万円
③石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がない場合・・・800万円
④石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がある場合・・・950万円
⑤石綿肺管理4、肺がん、中皮腫、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水の場合・・・1150万円
⑥石綿肺(管理2・3でじん肺法所定の合併症なし)による死亡の場合・・・1200万円
⑦石綿肺(管理2・3でじん肺法所定の合併症あり又は管理4)、肺がん、中皮腫、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水による死亡の場合・・・1300万円
ただし、石綿にさらされる建設業務に従事した期間が一定の期間未満の場合や、肺がんの方で喫煙の習慣がある場合には、給付金等の金額がそれぞれ1割減額されます。

Q.アスベスト(石綿)関連疾患について、どのような疾患が労災認定の対象となりますか?

A.アスベスト(石綿)ばく露労働者について発症した疾病のうち、石綿肺(石綿合併症を含む)、中皮腫、肺がん、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚が対象となります。
なお、それぞれの疾患ごとに認定要件があります。

Qアスベスト(石綿)に関する労災の請求期限はいつまでですか?

A.療養補償給付、休業補償給付は2年、遺族補償給付は5年で時効になります。
なお、アスベスト(石綿)患者のご遺族について、遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅した場合には、特別遺族給付金の申請をすることができます。特別遺族給付金の支給対象は、令和8年3月26日までにお亡くなりになった労働者または労災の特別加入者のご遺族の方で、請求期限は令和14年3月27日までとなっています(令和6年6月現在)。

Q労災保険給付や勤務先の会社から賠償金の支払いを受けている場合でも国家賠償請求や建設アスベスト給付金を申請することができますか?

A.労災保険給付を受けている場合でも国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請をすることが可能です。
また、勤務先の会社から支払われた賠償金額によっては、国家賠償請求や建設アスベスト給付金が認定される場合もあります。

Q労災が認定されなかった場合、国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請は認められないのでしょうか?

A.労災が認定されなかった理由によります。例えば、被災者のご遺族が遺族補償給付を申請され、被災者が生前にアスベス関連疾患にり患していたものの死因がアスベスト(石綿)関連疾患によるものではないため、労災が認定されなかったということもあります。このような場合、労災が認定されなくても、国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請が認められる可能性があります。

Q.過去にアスベスト(石綿)を吸ったことがあり、肺がんにり患しましたが、医師からアスベスト(石綿)が原因ではないと言われました。労災認定はされないのでしょうか?

A.医師の判断と労災認定の要件は異なります。そのため、医師からアスベスト(石綿)が原因ではないと言われた場合でも、労災が認定される可能性もあります。

Q.労災や救済給付の認定がされていなければ国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請は認められませんか?

A.労災や救済給付の認定がされていなくても、国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請が認められることもあります。
なお、管理2・管理3の石綿肺でじん肺法所定の合併症がない等の場合、労災申請をすることなく国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請をすることも多いです。


Q.本人が死亡しているのですが、遺族が請求することはできますか?

A.労災は被災労働者本人がお亡くなりになっている場合、被災労働者のご遺族が申請をすることができます。また、建設アスベスト給付金も被災労働者のご遺族が申請をすることができますし、国家賠償請求訴訟も被災労働者のご遺族が提起することができます。
もっとも、被災労働者がお亡くなりになっている場合に申請や請求をすることができるご遺族の範囲は制度により異なります。
詳しくはご相談下さい。

Q.勤務していた会社が倒産しているのですが、手続きをすることはできますか?

A.勤務していた会社が倒産している場合であっても、労災申請をすることができ、労災が認定されることもあります。また、国家賠償請求や建設アスベスト給付金の申請も同様に、勤務していた会社が倒産していても認められることがあります。