目次
- 1 石綿曝露作業
- 1.1 ・石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業
- 1.2 ・石綿や石綿含有岩綿等の吹きつけ・張りつけ等作業
- 1.3 ・石綿原綿または石綿製品の運搬・倉庫内作業
- 1.4 ・配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業
- 1.5 ・造船所内の作業
- 1.6 ・船員等の船に乗り込んで行う作業
- 1.7 関連製品
- 1.8 ・建築現場の作業
- 1.9 ・解体作業
- 1.10 ・港湾での荷役作業
- 1.11 発電所・変電所・その他電気設備での作業
- 1.12 ・鉄鋼所または鉄鋼製品製造に関わる作業(耐熱(耐火)服や耐火手袋等を使用する作業を含む)
- 1.13 ・自動車・鉄道車両等の製造・整備・修理・解体作業(鉄道等の運行に関わる作業を含む)
- 1.14 ・ガラス製品製造に関わる作業
- 1.15 ・石油精製工場・価額工場内の精製・製造作業や配管補修作業
- 1.16 ・レンガ・陶磁器・セメント製品製造に関わる作業
- 1.17 ・吹きつけ石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業(教員など)
- 1.18 ・エレベーター製造または保守に関わる作業
- 1.19 ・ランドリー・クリーニングに関わる作業
- 1.20 ・ガスマスクの製造に関わる作業
- 1.21 ・ゴム・タイヤの製造に関わる作業
- 1.22 ・道路建設・補修等に関わる作業
- 1.23 ・映画放送舞台に関わる作業
- 1.24 ・農薬・バーミキュライト等を扱う作業
- 1.25 ・酒類製造に関わる作業
- 1.26 ・消防に関わる作業
- 1.27 ・歯科技工に関わる作業
- 1.28 ・金庫の製造・解体に関わる作業
- 1.29 ・タルク等石綿含有物を使用する作業
- 1.30 ・その他の石綿に関連する作業
石綿曝露作業
石綿による疾病の認定を受けるためには、石綿曝露労働者(石綿ばく露作業に従事しているか、または従事したこと のある労働者)でなければなりません。
そして、ここでいう石綿曝露作業とは以下に記載した作業をいいます。
①石綿鉱山またはその附属施設において行う石綿を含有する鉱石または岩石の採掘、搬出または粉砕その他石綿の精製に関連する作業(以下、石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業)
②倉庫内などにおける石綿原料などの袋詰めまたは運搬作業
③石綿製品の製造工程における作業
④石綿の吹付け作業
⑤耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱もしくは保温のための被覆またはその補修作業
⑥石綿製品の切断などの加工作業
⑦石綿製品が被覆材または建材として用いられている建物、その附属施設などの補修または解体作業
⑧石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
⑨石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)など)などの取り扱い作業
⑩上記①から⑨までの作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業
⑪上記①から⑩までの作業の周辺などにおいて、間接的なばく露を受ける作業
以下では想定される作業例と関連職種例、関連製品例を記載します。
・石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業
関連職種
石綿鉱山の坑夫、採掘、採進、破砕、乾燥、袋詰め、石綿スレート板製造、石綿セメント管製造、ブレーキライニング・ブレーキパッド・クラッチフェーシング製造など。
なお、我が国の石綿鉱山は昭和20年代までに多くが閉山し、現在、石綿鉱山はありません。
関連製品
石綿保温材・煙突材、石綿含有ボード(外壁材・内装材)、石綿含有摩擦材(ブレーキパッドなど)
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/01.pdf
・石綿や石綿含有岩綿等の吹きつけ・張りつけ等作業
以下のような事例が考えられます
・鉄骨の梁の耐火被覆の吹きつけ作業などの際に、作業周辺で粉じんが舞っていため、作業者や周辺の作業員が高濃度ばく露
・石綿耐火被覆板の取付け作業中等に、表面の石綿が剥がれてばく露
関連職種
石綿・石綿含有岩綿吹きつけ、型枠大工、ハツリ、とび、鉄筋工、鍛冶工、解体工、電気工事士、雑役、水道屋、ダクト工など
関連製品
石綿吹きつけ材、石綿含有バーミキュライト吹きつけ、石綿フェルトなど
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/02.pdf
・石綿原綿または石綿製品の運搬・倉庫内作業
以下のような事例が考えられます
・吹きつけ綿の袋が運搬途中に破れて、運搬に携わっていた運転手がばく露した
・大型トラック、ダンプ、建設重機などのブレーキ等に石綿が含有していた時期があり、点検・整備の際に石綿ばく露した
関連職種
倉庫内作業員など
関連製品
石綿原綿、石綿含有屋根材、石綿含有鉱石など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/03.pdf
・配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業
以下のような事例が考えられます
・焼却炉用の独立煙突の耐火レンガに石綿板を接着剤で貼り付けていることがあり、炉の補修の際に行われる痛んだ石綿板の交換時に石綿ばく露した。
・地下機械室の配管保温材や応急処理用の石綿パッキング、石綿ロープの劣化、破損による石綿ばく露
関連職種
配管工、空調設備取付け、ダクト工、板金工、築炉工、保温工、溶接工、ボイラーマンなど
関連製品
石綿保温材・煙突材、石綿パッキング・ガスケット、石綿織物・ひも・ロープ・石綿セメント管・石綿パイプなど
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/04.pdf
・造船所内の作業
以下のような事例が考えられます
なお、造船関係には、事務職員等にも石綿ばく露が疑われる調査報告があります。ご注意ください。
・溶接作業時に、溶接ヒュームでの火傷や鍛冶防止用の石綿クロスによる石綿ばく露
・石綿布団制作時のばく露
・船舶修理時における吹きつけ・保温材・石綿布団等の劣化、破損による石綿ばく露
関連職種
船内ぎ装、船体ぎ装、溶接工、電気工、塗装、溶接工、製罐工、配管工、造船所内の事務所員、掃除工など
関連製品
石綿保温材・煙突材、石綿含有ボード(船内の不燃内装材)、石綿吹きつけ剤、石綿パッキング・ガスケット・ひも・布など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/05.pdf
・船員等の船に乗り込んで行う作業
以下のような事例が考えられます
・機関室の配管の石綿含有保温材の劣化により、石綿が飛散することによる石綿ばく露
関連職種
船員、機関士、航海士、乗組員、船内ぎ装、船体ぎ装等など
関連製品
石綿保温材・煙突材、石綿吹きつけ材、石綿含有ボード(外壁材・内装材)など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/06.pdf
・建築現場の作業
建築現場全体
建築現場においては、鉄骨で建物の骨格を作ったうえで,建物の仕様・要求により柱や梁に後から耐火被覆として石綿の吹きつけを施行していました。
また、鉄骨建て方・床・屋根が出来ると耐火工事が始まり、吹きつけ機を用いて石綿の吹きつけが行われていました
このような作業中に、作業員が石綿にばく露した可能性があります。
野丁場作業
以下のような事例が考えられます。
・左官工事の壁下地調整作業時の、石綿が混入した下地用接着剤等の使用によるばく露
・サッシ工事(金属建具工事)の際、補強のリブ(力骨)などを鉄骨面に入れるために、内壁などに吹きつけられている石綿を搔きとった際のばく露
・白石綿が高度に含有していたビニールアスベストタイル(商品名「Pタイル」)の修理、解体時のばく露
・給排水設備工事(衛生工事)において石綿セメント板や石綿化粧タイル板の壁に穴を空けたり、カットした時にばく露
・塗料には、白石綿混入のタルクが入っていたことから、塗装(ガン吹き)工事の際に、ばく露した
・コッキング材には相当高度に石綿が含有されていたことからシーリング作業(コッキング作業)時にばく露した
・集じん鋸がない中での切断作業を行ったため粉じんが舞ってばく露した
・グラスウールが石綿の上から直接張ってあったため、壁の修理補修時にばく露した
リフォーム作業
・壁紙の張替え作業時の下地調整のためのパテに石綿混和材が使用されていたことに伴う石綿ばく露
・白石綿の上に岩綿を吹きつけて封込められていたために、壁の修理、補修、解体作業時の石綿ばく露(非常に珍しいケースではあるが実例あり)
街場(家屋の新築)作業
・新築時のセメントにモルタルを投入する作業時に、モルタルが石綿含有製品であったためにばく露
・住宅の外壁用の石綿含有サイディング切断時に、多量の粉じんが発生することによる石綿ばく露
・彩色石綿スレート瓦等の屋根材の経年劣化による補修、取替作業時のばく露
・天井内作業時に、天井に吹きつけられた石綿をこすってばく露
・溶接、建材の切断、保温材の巻き付け作業時のばく露
関連職種
野丁場の仕事(マンション、ビル等の建築)、街場の仕事(戸建住宅等の建築)、型枠大工、とび、内装大工、鉄筋工、現場監督、電気工事士、はつり工、玉掛け・クリーンオペレーター、室内装飾工、表具工、畳工、瓦工、クロス工、ブロック工、左官、サイディング工など
関連製品
石綿含有屋根材、石綿含有ボード(外装材・内装材)、石綿吹きつけ材、石綿セメントビニル管、石綿保温材、煙突材など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/07.pdf
・解体作業
以下のような事例が考えられます
・石綿が含有している建材の破砕作業による石綿粉じんの発生による作業員のばく露
・多量の石綿を使用した工場の解体作業時、重機による保温材の散乱によるばく露
・石綿の含有したフレキシブル板の破砕作業時のばく露
・高度経済成長期に新設された装置類(石綿保温材が多用)の解体・除去時のばく露
関連職種
とび、はつり工、鉄筋工、解体工、鍛冶工、建設重機のオペレータ、現場監督など
関連製品
石綿吹き付け材、石綿含有ボード(外壁材・内装材)、石綿含有屋根材、石綿保温材・煙突材など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/08.pdf
・港湾での荷役作業
以下のようの事例が考えられます
・港湾での石綿原綿の荷役時には、袋を引っ掛ける手鉤が使用されていたため(ILO石綿条約では手鉤の使用は禁止されています)、手鉤の使用により袋が破れ、石綿粉じんが舞う中での荷役作業による石綿ばく露
・コンテナ車からのバン出し(搬出、荷下ろし)作業時の手鉤使用により、社内こぼれた石綿の掃き掃除による石綿ばく露
なお、荷役作業の横で数量チェックをしていた検査員からも中皮腫による死亡例も確認されています。
関連職種
港湾荷役、船内荷役、沿岸荷役、デッキ作業、荷積み・荷降ろしなど
関連製品
石綿原綿
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/09.pdf
発電所・変電所・その他電気設備での作業
以下のようの事例が考えられます
・耐火目的の建材、変電設備の防音材、発電設備の保温材・シール材、地中線用の石綿セメント管等に使用されている石綿が、解体時や点検・工事時に飛散することによるばく露
・変電所の天井や内壁に吹きつけられたり張りつけられている石綿製品の劣化、破損、修繕等による石綿飛散によるばく露
なお、発電所には、過去に多くの石綿が使用されており、非石綿製品への切り換えが行われてきているところではありますが、現在でも設備の一部に石綿が使用されている可能性がありますのでご注意ください
関連職種
電気工事士、電気工事作業者、機械とび、保温工、断熱工、板金工、配管工、発電設備・変電設備の保守・点検・清掃社業員
関連製品
石綿保温材、石綿吹きつけ材、石綿紙、石綿織物・布・ひも・ロープ・テープなど
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/10.pdf
・鉄鋼所または鉄鋼製品製造に関わる作業(耐熱(耐火)服や耐火手袋等を使用する作業を含む)
以下のようの事例が考えられます
・石綿防止、石綿服、石綿手袋、石綿長靴の劣化により生じた石綿の飛散によるばく露
なお、石綿布で出来た耐熱服は製鉄のみならず、消防等でも使用されていました
関連職種
鉄工、製銑工、溶解炉工、溶接工、圧延鋼、鍛造工、鋳物工など
関連製品
石綿耐火服・手袋・靴、石綿織物・布・ひも・テープ・リボン、石綿含有摩擦材(ブレーキパッドなど)など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/11.pdf
・自動車・鉄道車両等の製造・整備・修理・解体作業(鉄道等の運行に関わる作業を含む)
以下のようの事例が考えられます
・色落ち防止目的でボンネット裏に張られる石綿フェルトの取付け、修理作業時のばく露
・ブレーキパッドの修理・交換時に、ブレーキパッドに入れられた石綿混和材の摩耗により堆積した石綿含有粉じんが舞うことによるばく露
・スレート屋根の経年劣化により強度が落ちた結果、雹や積載により屋根が破れて破損部から石綿が飛散することによるばく露
・車両内部に対する断熱材目的での石綿吹きつけ時の粉じんによるばく露
関連職種
機関車・鉄道車両の製造、点検、修理、解体、電気ぎ装、制輪子製造、自動車組立、自動車整備・修理、自動車鈑金・塗装など
関連製品
石綿含有摩擦材(ブレーキパッドなど)、石綿パッキング、ガスケット製造など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/12.pdf
・ガラス製品製造に関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・石綿テープが巻かれた加熱炉スポットバーナーガス管の修理・交換時のばく露
・加熱炉の隙間の石綿布の修理・交換時のばく露
・炉内覗き窓を覆う石綿布の劣化によるばく露
・加熱炉内ボビン・ヒーターの絶縁体の修理・交換時のばく露
関連職種
ガラス工、ガラス成形、板ガラス成形など
関連製品
石綿保温材・煙突材、石綿布、石綿耐火服、手袋、靴など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/13.pdf
・石油精製工場・価額工場内の精製・製造作業や配管補修作業
以下のようの事例が考えられます
・石綿含有建材の劣化、破損、修理時の石綿ばく露
・石綿板・石綿織布が使用された電気隔膜の交換時の石綿ばく露
・建築用塗料や接着剤の液だれ防止のために白石綿を混合する際の石綿ばく露
関連職種
保温工、配管工、板金工、溶接工など
関連製品
石綿パッキング・ガスケット、石綿保温材・煙突材・石綿フェルト、石綿含有電気隔膜など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/14.pdf
・レンガ・陶磁器・セメント製品製造に関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・陶磁器製造時に、彩薬、磁気原料、打ち粉として白石綿やトレモライト石綿の混入したタルクを使用することがあり、その製造過程でばく露
関連職種
陶工、陶芸家、レンガ・タイル製造など
関連製品
石綿含有耐火物、石綿セメント円柱、石綿セメント管など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/17.pdf
・吹きつけ石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業(教員など)
石綿含有の吹きつけがある建物等では、吹きつけた壁をこすったり、破損したり、自然劣化により石綿繊維が空気中に飛散し、低濃度ながら、長期ばく露することによる石綿関連疾患への罹患が懸念されています。
なお、以下のようの事例が考えられます
・学校の実験室の天井の吹きつけ石綿の破損部から飛散した石綿による教員の長期ばく露
・吹きつけ石綿の除去作業時の作業員のばく露
関連職種
石綿含有の吹きつけがある建物で働く職種は多様であることから、特定することは困難です。
ただし、石綿の特質である耐火性、防音性、耐腐食性、絶縁性等の条件が必要な職場環境においては、石綿吹きつけが使用されている可能性が比較的高いと考えられます。
耐火性が求められる職場の例
・調理場、ガラス製品製造
・防音性が求められる職場の例
・印刷業、劇場、学校
・防湿性が求められる職場の例
・発電所、倉庫
・耐腐食性が求められる職場の例
・化学工場、製油工場、畜舎
・絶縁性が求められる職場の例
・発電所
関連製品
石綿ふきつけ材、石綿含有岩綿吹きつけ、石綿フェルト、石綿含有バーミキュライト吹きつけ、石綿含有パーライト吹きつけなど
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/18.pdf
・エレベーター製造または保守に関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・エレベーター機械室の結露防止のための吹きつけ石綿の損傷や劣化による飛散により、修理点検作業中にばく露
・石綿含有ブレーキライニングのついた巻上げ機の修理・点検等の際に、石綿含有ブレーキライニングの摩耗により生じた発じんによる石綿ばく露
・エレベーターの天井についているファンが取り込むシャフト内の空気に石綿粉じんが混入していたことによる、エレベーターの運転や案内係の長期ばく露
関連職種
エレベーター製造、取付け、保守・点検など
関連製品
石綿吹きつけ材、石綿含有摩耗材(ブレーキライニング等)など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/19.pdf
・ランドリー・クリーニングに関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・プレス機用のボイラーに使われていた保温材の劣化による石綿ばく露
・ボイラー室の吹きつけられた石綿の自然劣化や損傷によって繊維が飛散したことによる石綿ばく露
関連職種
クリーニング店、リネンサプライなど
関連製品
石綿保温材・煙突材など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/20.pdf
・ガスマスクの製造に関わる作業
海外では1930年代から60年代のガスマスクに石綿が含有していたことがあります。
日本国内では同様の例は確認されていません。
・上下水道に関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・青石綿混入の水道用石綿セメント管の取付け現場にてセメント管切断時に飛散した石綿粉じんによる暴露
・セメント管を産業廃棄物として粉砕のうえ処分場に埋め立てる際のばく露
関連職種
水道工事、給排水管工事など
関連製品
石綿セメント管
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/22.pdf
・ゴム・タイヤの製造に関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・ゴム同士の付着防止のために塗るタルクに石綿が混入していたことによる塗布作業時のばく露
関連職種
ゴム製品製造、タイヤ製造など
関連製品
石綿含有摩擦材(ブレーキパッドなど)、石綿保温材・煙突材など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/23.pdf
・道路建設・補修等に関わる作業
以下のようの事例が考えられます
・石綿が混入していた区間の道路工事、補修作業時の石綿粉じんによるばく露
・トンネルの内装化粧スレート板、遮音壁、盛土保護壁の補修、交換時の石綿粉じんによるばく露
なお、石綿がアスファルトに配合された時期は昭和44年から同55年までの間であり、加工箇所は17箇所あります(詳しくは国交省が公開している「道路施設におけるアスベスト対策について報告書」をご覧下さい)。
関連職種
土工、一般土木、土木作業員、はつり工、型枠大工、土木設計、現場監督、施工管理、アスファルト工事、道路舗装工事、防水工事など
関連製品
石綿含有アスファルト
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/24.pdf
・映画放送舞台に関わる作業
以下のような事例が考えられます
・映画館やホール、劇場など、音響(特に吸音)効果が求められる建物の建築時や補修時に、吹きつけ石綿により生じる粉じんによるばく露
・照明等を吊しているブドウ棚の吹きつけの劣化、損傷による舞台関係者のばく露
・放送局の通信機械室や編集室の壁、天井に使用されている石綿穴あき板の劣化、損傷による放送関係者のばく露
関連職種
照明器機管理、音響器機管理、舞台装置管理、音楽家、俳優、ダンサーなど
関連製品
講堂舞台の緞帳、石綿含有吹きつけ材、石綿含有吸音材など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/25.pdf
・農薬・バーミキュライト等を扱う作業
昭和63年以前に製造された農薬(粉剤、粒剤)には、石綿の混入したタルクが増量剤として使用されている可能性があります。
また、土壌改良資材として投入されるバーミキュライトにも不純物として石綿が混入している可能性があります。
以下のような事例が考えられます
・昭和63年以前に製造された農薬の使用による石綿ばく露
・バーミキュライトの使用による石綿ばく露
関連職種
農家、土木工事業、造園業、病害虫防除業
関連製品
農薬(粉剤、粒剤)の増量剤、土壌改良資材、肥料の固結防止剤
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/26.pdf
・酒類製造に関わる作業
以下のような事例が考えられます
・原酒を濾過して清秋にする際に投入された石綿が濾過器に貼ってある布に付着した後、濾過器の布を洗って乾燥して再利用する際に、付着していた石綿繊維にばく露
関連職種
日本酒製造、ビール製造、ワイン製造など
関連製品
石綿原綿
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/27.pdf
・消防に関わる作業
以下のような事例が考えられます
・消防署の耐火吹きつけや張りつけ剤の劣化、損傷による石綿の飛散等によるばく露
・消火栓箱などの石綿含有耐火製品や耐火物の劣化、損傷等による石綿の飛散によるばく露
関連職種
消防士、救急隊員
関連製品
石綿含有防火服、石綿糸・テープ、石綿含有吹きつけ材
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/28.pdf
・歯科技工に関わる作業
以下のような事例が考えられます
・歯の詰め物の作成のための電気炉の断熱材として利用された石綿が、炉の開閉時に飛散してばく露
関連職種
歯科技工、医療器機製造・修理
関連製品
石綿含有歯科用機械器具、石綿紙、石綿リボン、石綿含有歯科材料
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/29.pdf
・金庫の製造・解体に関わる作業
以下のような事例が考えられます
・石綿を使用した耐火金庫の製造・補修・解体時の飛散・ばく露
・調湿効果目的で吹きつけられた石綿の劣化、損傷によるばく露
関連職種
金庫製造業、鈑金など
関連製品
石綿保温材・煙突材、石綿含有塗料・石綿含有シーリング材、石綿含有接着剤など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/30.pdf
・タルク等石綿含有物を使用する作業
一部のタルクについては、1980年代前半のものについて石綿が不純物として混入していたと言われています。
ゴム・タイヤ製造業での打ち粉や薬剤・農薬・製紙等広い範囲でタルクは使用されており、大阪府のタイヤ製造工場に雇用されていた労働者の肺癌例も報告されています。
関連職種
ゴム製品製造、タイヤ製造、医薬品製造、化粧品製造など
関連製品
石綿織物・布・ひも・ロープ・テープ・リボン、石綿含有タルクなど
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/32.pdf
・その他の石綿に関連する作業
以下のような事例が考えられます
・昭和63年以前に建築されたガソリンスタンドのキャノピーの鉄骨に吹きつけられた石綿や壁・床の石綿含有ボードの劣化、破損によるばく露
・食堂の厨房に使われている石綿板にネジ穴をあける際の石綿飛散にともなうばく露
・家畜舎の床に使用された石綿セメント板が清掃時等に飛散することによるばく露
関連職種
ガソリンスタンドスタッフ、飲食業の調理作業、石屋、ビルメンテナンス、装身具製造、賞杯製造業など
関連製品
石綿リボン、石綿含有ボード、石綿セメント板など
参照▶https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/dl/31.pdf