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運送業における労災事故【弁護士が解説】

はじめに

運送業での事故といえば、トラック運転中の事故がすぐに頭に浮かぶ方も多いと思います。確かに、トラック運転中の交通事故やトラック運転中に熱中症になるといった事故も珍しくありません。しかし、運送業においては、トラック運転中の事故だけでなく、荷物の搬入出時の事故が非常に多いのです。

以下では、運送業における労災事故について説明します。

運送業における労災事故の態様

陸上貨物運送事業における荷役災害防止の観点から、厚生労働省では、死亡災害の約8割を占める荷役5大災害(1.墜落・転落、2.荷崩れ、3.フォークリフト使用時の事故、4.無人暴走、5.後退時の事故)を防止するためのチェックリストや「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」が作成されています。

特に、フォークリフトによる事故については、

・荷積み作業中に高く上がったパレットから落下してしまう墜落・転落事故
・フォークリフトの運転ミスや、倉庫内でいきなり飛び出してきた等により

 フォークリフトに激突される事故
・フォークリフトの可動部に挟まれてしまう事故

など、様々な態様による事故が発生しています。

このようなフォークリフトによる事故の発生を防ぐため、労働安全衛生法には、事業者は、機械等による危険を防止するため必要な措置を講じなければならない旨規定されており(労働安全衛生法20条)、労働安全衛生規則にもフォークリフト等の車両系荷役運搬機械を用いて作業を行うときは、当該作業に係る場所の広さ、地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の種類等に適用する作業計画を定め、その作業計画により作業を行わなければならない。また、定められた作業計画を関係作業者に周知させなければならない旨(労働安全衛生規則151条の3)、フォークリフト等の車両系荷役運搬機械を用いて作業を行うときは、その作業の指揮者を定め前条の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない旨(同151条の4)、フォークリフト等の車両系荷役運搬機械を荷の吊り上げ、労働者の昇降等主たる用途以外の用途に使用してはならない。ただし、労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りではない旨(同151条の14)規定されています。なお、労働安全衛生規則の「危険を及ぼすおそれのないとき」とは、フォークリフト等の転倒のおそれのない場合で、パレット等の周囲に十分な高さの手すり若しくはわく等を設け、かつ、パレット等をフォークに固定すること又は労働者に命綱を使用されること等の措置を講じたときをいうとされています(昭和53.2.10基発第78号)。

業務中の怪我は労災

勤務先の会社である使用者には、労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるように必要な配慮をする義務(安全配慮義務)が定められています(労働契約法5条)。

また、安全配慮義務は元請業者等、雇用関係にない場合においても認められることがあります。

そして、労働者が仕事中に事故に遭い、負傷してしまった場合、基本的には労働災害となり、労災保険給付を受給することができます。

労災が認定されると、療養補償給付や休業補償給付等が給付されるため、治療費の負担や収入に対する不安が軽減されるでしょう。

フォークリフトに起因する事故をはじめとする運送業においても、これまで多くのケースで労災が認定されています。

労災申請の流れ

労災申請は、基本的に所轄の労働基準監督署に請求書を提出して申請します。労災申請は、勤務先の会社が被災労働者に代わって行ってくれることもありますが、被災労働者自身で行うこともできます。

労災申請をすると、労働基準監督署が業務上の事故によって生じた負傷かどうかを調査します。仕事中にフォークリフトから落下したり、フォークリフトに激突したりしたことによって負傷したというケースでは、業務上の事故による負傷であると認定されやすいでしょう。

業務上の事故による負傷であると認定されると、療養補償等給付や休業補償給付等の労災保険給付を受けることができます。

後遺障害が残ってしまった場合に当事務所でできること

労災認定がされると、療養補償給付等を受給しながら治療を行うことができます。しかし、治療を継続したにもかかわらず後遺症が残ってしまうこともあります。そのような場合には、障害補償等給付の申請を検討しましょう。

障害補償等給付は、身体に一定の障害が残ってしまった場合に受給することができ、残存した障害の程度に応じて第1級~第14級までの等級があります。それぞれの等級ごとに給付される金額は異なり、また、そもそもこれらの等級に該当しなければ障害補償等給付を受けることはできません。

障害補償等給付の申請の際には、労働基準監督署に対して労働者災害補償保険診断書(いわゆる後遺障害診断書)を提出します。申請後、労働基準監督署担当者との面談が行われることもあります。

そして、障害補償等給付の認定には、労働者災害補償保険診断書の記載内容や労働基準監督署担当者との面談の対応が非常に重要となります。

運送業における労災事故では、フォークリフトから落下して腕や足を地面に打ち付けたり、フォークリフトに激突したりすることもあり、重い後遺障害が残ってしまうことも少なくありません。

下川法律事務所では、労働者災害補償保険診断書の記載内容の確認や労働基準監督署担当者との面談の同席も承っています。治療を継続したにもかかわらず後遺障害が残ってしまってお困りの方は、一度下川先生法律事務所までご相談ください。

労災保険では十分な補償を受け取ることができない

労災保険では、療養補償給付や休業補償給付、障害補償給付等の給付を受けることができます。

もっとも、慰謝料等は労災保険から支給されません。また、休業補償等給付も労災事故に遭う前まで支払われていた給与と同等の金額が支給されるわけではありません。

慰謝料等、労災保険から補填されない損害については、労災事故の発生に責任がある勤務先の会社等に対して請求することになります。

前述のように、勤務先の会社には安全配慮義務が定められており、勤務先の会社が同義務に違反して労災事故が発生した場合には、勤務先の会社に対して慰謝料等の損害賠償を請求できる可能性があります。

また、勤務先の会社には、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任(使用者責任)が定められています(民法715条)。

運送業での事故の場合、他の従業員の操作ミスでフォークリフトに衝突したりすることもあります。このような場合も、使用者である勤務先等の会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

下川法律事務所にご相談ください

運送業における事故は、トラック運転中のだけでなく、荷物の搬入出時の事故も多発しています。

特に、フォークリフトによる事故は、フォークリフトの運転士が走行中に激突する、フォークリフトに運転士の身体の一部が挟まれる、停車後にフォークリフトから降りる際に墜落する、倉庫内を歩いていた従業員がフォークリフトに激突される、フォークリフトのリフトしたパレットから転落する、フォークリフトの荷が倒れて近くにいた従業員が下敷きになるなど様々な態様があり、いずれも大怪我につながる危険性があります。

これらの事故の発生について、会社側の責任の有無を一般の方が判断するのは困難かと思います。

また、勤務先の会社に対して損害賠償を請求しても、被災労働者自身の不注意が原因であり会社には責任がない等といった主張をされることも多く、このような主張に対しては法的な根拠に基づいた反論をする必要があります。

下川法律事務所では、会社に対する損害賠償の請求をはじめ、労働者災害補償保険診断書(後遺障害診断書)の確認、労働基準監督署等との面談の対応に関するサポートも承っています。

運送業をはじめ、労災事故に遭われてお困りの方は、是非、下川法律事務所にご相談ください。